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僕と母さん、神尾秋紘と神尾夏子は幸せに暮らしてきた。狭いアパートで二人、裕福ではなかったけど僕らは寄り添うように生きていた。幼い頃に父親を亡くして母さんは女手ひとつで育ててくれた。優しくて、厳しくて、ハキハキしてて、とっても綺麗な僕の自慢の母さん、だった…はずなのに。少しずつ幸せだった生活は崩壊していく。僕が世界で一番大嫌いな同級生、江口一哉のせいで。厚かましくて、ガサツで、暴力的で、僕の持っているものを、大切なものを軽い気持ちで奪っていく。そんな最低なアイツと出逢ってしまった母さん。僕の知らないところで少しずつ変わっていく。化粧っ気の無かった顔には口紅が引かれ、地味だった服は見ているのも恥ずかしい露出の多いモノになり、あれだけこだわっていた僕のための手料理もインスタントになり、パートが終わればまっすぐ帰ってきてくれたのに深夜になっても帰ってこない。母親という仮面の下に隠されていたメスの欲望を掘り起こされ、オンナになった母さんは悶え、喘ぎ、絶叫する。重ねられる嘘と逢瀬。「最近忙しくって、残業ばっかりだわ」「今日も帰り遅くなっちゃうから、適当に何か食べててくれる?」いつでも僕のことを考えてくれていたのに気がつけば、母さんの生活はアイツを中心に回り始めていた。
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